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gif-neji 過去回転作品

初期から本展まで順を追って “回転作品”をご紹介します。

2011年

■ 『世界遺産を巡る、チクビまっ黒族と股のあたりキラッ族の闘い』

広島市現代美術館(広島)「秋山祐徳太子+しりあがり寿 ブリキの方舟」展

現代美術家 秋山祐徳太子さんとの二人展として、しりあがりは大きく3部屋3テーマに分けて展示を行った。
1部屋目のテーマは【未来】。軋みが目立つ現在の世界がその未来を戦争に託すことがないよう、戦うことの滑稽さを部屋一面のパノラマに描いた。
制作時に登録されている世界遺産全て(900余り)が和紙に描かれ、合間を縫うように2族のマネキンが回っている。

  • 展示風景1
  • 展示風景2
  • 展示風景3
しりあがり寿「マネキン回そうと思ったのはオープンの二ヶ月くらい前、広島のビジネスホテルで朝風呂に浸かってる時でした。ギリギリのタイミング。間に合ってよかったね。」

2013年

■ 『ぽっぽろー ぷっぷる♪ ぺっぺれー ぴょっぴょろ♪』

円覚寺龍隠庵(神奈川)「観○光」鎌倉展

この展示の前身となるart space kimura ASK? での展覧会は、ぬいぐるみ、ブーツ、グローブといった日常品が、お祈りのような言葉『ぽっぽろー ぷっぷる♪ ぺっぺれー ぴょっぴょろ♪』をそれぞれの声で唱えているというものだった。
鎌倉の由緒ある寺院の古い蔵を使ってのこの展示では、それらにさらに“回転”が足され、お祈りの声を発しているものもあれば、回っているものもあるという、さらに混沌を増す展示になっている。

  • 展示風景1
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  • 展示風景3
しりあがり寿「観〇光は先輩に誘われて参加したんだけど、いろいろいいきっかけを与えてもらいました。二条城とか円覚寺とか、もう場所の力がスゴイの。で、その場所の力をどう活かすか、悩むのが楽しかったー! この時も円覚寺龍隠庵のお蔵に入っていきなり展示のために片づけを手伝おうとしていたお坊さんの前で、逆に散らかしだしたときは面白かったな。お坊さん、ビックリしてた。」

■ 『回転派のアトリエ』

art space kimura ASK?(東京)「大回転祭」展

ギャラリー内を画家のアトリエ内とみなし、石膏像、イーゼル、絵具箱、描きかけのデッサン、失敗して丸めた絵、空の酒瓶などを真っ白い空間に配した。それらを全て回転させることで見慣れた風景を変質させ、浮遊感のある空間をつくりだした。

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しりあがり寿「これは本格的に回した展示だねー。ラボルトだねー。あの空間は何とも言えない不思議さがあってスキでした! ラボルトの石膏デッサンや壁の油絵は美大生の人にバイトで描いてもらいました。自分じゃとても描けないw」

■ 『ダルマ』

art space kimura ASK?P(東京)「大回転祭」展

『回転派のアトリエ』と同時に、同ギャラリー地下室で発表された作品。
ぞんざいに破かれたダンボールの破片に、無数の小さなダルマが規則正しく並び回転している。一番奥の配電室には“回る焚き火”が1つ、ひっそりと展示された。

  • 展示風景1
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しりあがり寿「「ダルマ」と「焚き火」は空間でなく物体を意識したんだよな。だからどうってこともないけど、やっぱり空間を作ろうとするのと物体を作ろうとするのは同じだけど違うんだよなー。」

2014年

■ 『回転体は行進するダルマの夢を視る』

彫刻の森美術館(神奈川)「ミーツ・アート 森の玉手箱」展

30体の大きなダルマが、ひとつひとつ回りながらそれぞれの声で歌を歌っている。『オレは強いぞ すごいんだぞー ヨッホヨッホホ そりゃいくぞー』。各ダルマは孤立し、プライドを保とうと勇ましい歌を歌うがその不安は隠せない。まさに時代の一面を切り取ったような作品。

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しりあがり寿「時代の一面て(笑)。実はこの歌自分では相当気に入ってて、これを合唱するようなパフォーマンスできないかな? とか考えてます。」

■ 『大回転祭』

CCC(静岡) 「どこまでやるら。」展

2013年art space kimura ASK? での『回転派のアトリエ』、2014年彫刻の森美術館での『回転体は行進するダルマの夢を視る』の2作品を、巡回展として静岡で展示したもの。

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しりあがり寿「CCCはボクが卒業した小学校を改装したアート施設で、他にもホントいろいろ展示の場をいただいてありがとうございました。ドヴァイ展とか工作展とか。今度なくなっちゃうみたいだけど楽しかった! ありがとうございました!」

2015年

■ 『回転派の静物画』

art space kimura ASK? + ASK?P(東京)「絵画の存在とその展開 改め 絵画のぞんざいな回転」展

床も壁も天井も真っ白な空間に、鮮やかに燃えるようなタッチで描かれた花瓶の静物画が、壁や床に点々と展示された。
14枚飾られた絵画は、額サイズや縦横比率も違うが、全て同じ静物画だ。それらは全て回っている。

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しりあがり寿「これは何かとにかくただ『絵画』としか言えないような絵画を描いてみたかったんだよね。会社の応接室とかに飾ってあって邪魔にならないというか、何が描いてあるとかどんな主張があるとか全くどうでもよくて、ただ『絵が飾ってあるなー』みたいに人にボンヤリした印象を与えるような絵。これをねー、正月つぶして一人で描いたんだよ、つらかったよ。でやっぱり絵だけじゃなんともならなくて結局回しました(笑)。ASK?の木邑さんには助られたなー。ダルマも絵も「あと回しといてください」とか言ってモーターの細工とかおまかせだったもんなー。回ってるのは木邑さんのおかげです。」

■ 『回』

日経新聞社東京本社SPACE NIO(東京)「崩と回」展

13mもの巨大な墨絵作品『崩』を描きおろし、2015年art space kimura ASK? での『回転派の静物画』を『回』として合わせ、『崩と回』(ほうとかい)という組作品として発表した。 “崩れる”という縦運動に対し、“回る”という回転運動を対比させ、左右非対称である展示場所の特性を活かすことに留意した。

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しりあがり寿「これはねー、琳派400年にちなんでアートフェア東京と連動して何かやらないか? って企画だったんだけどね。琳派→俵屋宗達の雷神風神→風、雷→フウ、ライ→ホウ、カイ→崩・回⁉ って連想ゲームみたいな作品なんだけど、そのわりにはよくできたと思ってます。あと、日経新聞の美術部の人たちが楽しかった!」

2016年

■ 『あの日に回りたい』

art space kimura ASK? + ASK?P(東京)「あの日に回りたい」展

ギャラリーの壁全面に複数台のプロジェクターを使って投影されたたくさんの動画は、速く、遅く、小さく、大きく、ぼんやり輝きながら回っている。
よく見れば、東京オリンピック開会式や、バブル崩壊など、歴史的なニュースの場面に、社員旅行の思い出ビデオなどプラベートな動画なども混じり、全てが回転のうちに混沌としている。

  • 展示風景1
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しりあがり寿「「いろんなものを回したあとは映像回さなきゃ! みたいに思って回したんだけどね。大きな歴史も、自分の小さな歴史も、一緒に回しちゃえと思ったんだけど、回してみると中の映像なんてあまり関係ないな気がして、う~ん、発展途上。」

■ 『赤いネジ』

旧沙弥小中学校(香川)「瀬戸内国際芸術祭2016 春会期」沙弥島会場

元小中学校だった教室を使っての展示。
かって使われていた机や教科書の中で回り続ける巨大な赤いネジ。学校だったという過去の力、それを忘れさせようとする時の力、人の心に残る記憶の力。締まったりゆるんだりしながらその場で回り続けるネジは動的な力の拮抗を表している。

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しりあがり寿「これは瀬戸内国際芸術祭に、神戸芸工大の一員として参加させてもらった作品です。いやー、瀬戸芸って大人気のでっかいイベントで人がいっぱい見にきてくれたみたい。すごいね。アートって。しかし搬入の時も搬出の時も両方腰やられたのはまいった。」